市民風車の会 あきた

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市民の発電用風車建設 環境保全から事業へ */秋田

◇出資募って意識高揚 市民の出資で運営する「市民風車」がこのほど、天王町江川の海岸に完成した。17日には試運転も行われ、3月上旬の始動に向けて着々と準備が進んでいる。風車は羽根を入れて高さ約100メートル、年間発電量は約1000世帯の消費電力に相当する300万キロワット時。総事業費は3億8000万円にも上る。商社など企業による風車建設が全国に比して進む本県だが、あえて住民主体の風車建設に取り組んだ市民たち。巨額の市民出資を呼びかけるその意図を追った。【小倉祥徳】 

■全国で2基目 今回の風力発電の事業主体は、北海道のNPO(非営利組織)「北海道グリーンファンド」。会員は札幌市を中心に約1300人で、地球温暖化防止と自然エネルギーの普及に取り組む。昨年9月には、市民会員などから1億4000万円の出資金を集め、北海道浜頓別町に国内初の市民風車を建設した。その後、同ファンドが2基目の建設計画を本県に呼びかけ、秋田市のNPO関係者など県内有志が01年10月、「市民風車の会 あきた」を設立した。 同会と同ファンドは、風況データの観測や土地の賃貸、地元住民への説明、市民出資の仕組み作りをする一方、電力会社と売電契約を結ぶための折衝や経済産業省の外郭団体、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)への補助金申請を行い、昨年7月には建設のめどが立った。 風車建設は今年1月下旬、ドイツから風車の部品の海上輸送を受け開始。現場での組み立てと電気関連部品の取り付け作業は、わずか3週間余りで終わった。

 ■風車の会に20人 総事業費のうち、市民出資額はNEDOからの助成金(1億8000万円)を除いた2億円。うち1億円分はグリーンファンドが担当し全国に呼びかけるため、風車の会が県内で出資を呼びかけるのは1億円で、1口5万円と50万円のタイプがある。17年間の東北電力との売電契約が結ばれており、電力収入から諸経費を引いた分を出資者に配当するが、利回りは15年かけて2・5〜2・7%を見込んでいるという。 動き出したばかりの風車の会は事務局3人、入会者は約20人とまだ小規模。2月1日から秋田市や天王町を中心に呼びかけを開始したが、これまでの問い合わせはまだ70件ほど。さらに全県にかけて呼びかけを進める。 同会の原田美菜子さんは「自然豊かな秋田では、地球温暖化など環境問題の意識はまだまだ一部の人だけにとどまっている。風車が多くの人に問題を考えるきっかけ作りになれば」と話し、募集を全県に広げて行う。 「1億円の出資は、市民活動の基盤の弱い秋田ではチャレンジングな取り組みだが、自然エネルギー普及の動きが全国で広がるのが大事」。同ファンドの大谷明事務局長も期待を寄せる。 

■市民活動の脱皮 県県民文化生活課によると、現在県内で環境問題にかかわっているNPOは25団体だが、すべて環境保全型。自ら「事業」を行う市民運動は全国的にも少なく、県内では初めてだ。 県内のNPOに事業化支援を行うNPO団体にも所属していた原田さんは、「市民活動には運営資金も必要で、『事業』の考えを取り込まなければ、市民活動は長続きしない」と主張する。 また「同じ地球に優しい風車でも、お金もうけの企業と市民運動は違う。そのためにも、環境問題の情報発信と事業型NPOのネットワーク作りをすることができれば」と話している。 なお、グリーンファンドと同会は16日午後1時半から、秋田市山王の秋田市文化会館で、「市民事業が地域を作る 〜環境を守る『市民活動』から環境を生かした『市民事業』へ〜」と題したシンポジウムを行う。 市民風車への問い合わせは、「市民風車の会 あきた」(電話018・863・0800)まで。 ◇県内の風力発電、現在62基が稼働 県内は沿岸部を中心に発電に適した平均毎分風速6メートル以上の地域が多いため、風力発電所7カ所、風車62基が稼働中で、04年までにはさらに20基の運転が見込まれている。 82基の総出力は9万2790キロワットで、県が98年に設定した、2010年度までの風力発電の導入目標値4万5000キロワットを大幅に上回る。さらに能代市や八竜町などで89基、計11万8540キロワット分の建設計画もあり、県は大幅な目標値見直しを検討している。 ただ、発電単価は火力発電が1キロワットあたり約7・3円なのに対し、風力発電は02年度の東北電力の入札上限価格の場合10・89円と高め。4月1日施行の新エネルギー特措法では各電力会社に新エネルギーの買い取り義務枠を定めたが、逆に枠以上の風力発電設置を阻む障害になることもあり、一層の普及にはなお課題も多い。

毎日新聞 2003年2月16日(日)


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